【薬膳の歴史】
【西洋栄養学との違い】
この二つの項目についてご紹介したいと思います!
薬膳の歴史
前回ご紹介した、『食養』と『食療』のおさらいをしましょう!
- 『食養』食材を用いて病気を予防し、健康増進を図ること
- 『食療』病気になったとき、回復を早め症状を軽減すること
【薬膳の基礎知識その1】薬膳とは何か?どんな役に立つのか?
まずは薬膳の歴史を表にしたのでご覧ください!
【薬膳の歴史】
時代 | 薬膳 | 書物 |
古代(3000年以上前) | 食養・食療と表現されていた | – |
周(B.C.1050~771年) | 食医が重要視された | *1 |
前漢(B.C.202~A.D.8年) | 薬膳の理論が整理された | *2 *3 *4 |
唐(618~907年) | 薬膳が発展した | *5 *6 |
明(1368~1644年) | 薬膳の理論・手法が民間に普及した | *7 |
書物 | 内容 |
*1 周礼(しゅうれい) | 周時代の官僚制度のことが書かれた書物 |
*2 黄帝内経(こうていだいけい) | 中医学理論の聖典。食養や食療について初めて整理された本 |
*3 神農本草経(しんのうほんぞうきょう) | 最古の薬学専門書。365種の生薬と食材が紹介されている |
*4 傷寒論(しょうかんろん) | 生薬と食材を組み合わせて作った薬が紹介されている |
*5 千金要方(せんきんようほう) | 食材紹介、薬膳レシピ、食養と食療の原則が紹介されている |
*6 飲膳正要(いんぜんせいよう) | 中国で最初の栄養学の専門書 |
*7 本草綱目(ほんぞうこうもく) | 本草学の代表的な書物。1892種類の薬物を分類・解説 |
食医は周の時代の最高位だった!!
実は周の時代の医師は、業務によって4つに分けられていました。
- 食医(しょくい)
- 疾医(しつい/内科医)
- 瘍医(ようい/外科医)
- 獣医
その中でも食医(しょくい)は最高位にあたり、皇帝や妃が病気にならないように食事を施す重要な役割を担っていたのです。
食医は薬や手術で治療するよりも、毎日の食事で治療・予防するほうが重要と認識していたんだよ!
3000年以上も前から薬膳の基礎となった食養と食療は、様々な時代を経て書物に整理・追記され、民間に普及したのちに現代の薬膳へと発展してきた歴史を持ちます。
では、世間には薬膳の基礎となる中医学しか発展しなかったのかと言われると、そうではありません。21世紀を迎えた現代でも、目を見張るほどの進化を遂げている医学があります。それは何かというと、
西洋医学です。
西洋医学と中医学は何が異なるのか。
それぞれの栄養学から、西洋医学と中医学の違いについて見ていきましょう!
西洋栄養学と中医学における栄養との違い
ものすごくわかりやすく言うと、この2つの違いは
- 健康な人を基本とするか(西洋栄養学)
- 1人ひとりの体質を重んじるか(中医学における栄養)
になります。
西洋栄養学は健康な人を基本としている!!
現代の西洋栄養学は
- 栄養を平均的にバランスよく摂ること
- 食材で栄養を「補う」こと
この2つを重要視しています。
あなたは厚生労働省が発表している『日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要』というPDFがあるのはご存知ですか?(この薬膳ブログでも度々使用しています。)
年齢・性別・体重別・活動強度別で示されている、1日に必要な栄養価の数値を見ることができる便利なものですが、あくまでこの数値も健康な人向け。
『中西結合』の考え方で良いとこどりしよう!
中西結合(ちゅうせいけつごう)とは、中医学と西洋医学の長所と短所を取捨選択し、さらに高い治療効果をめざす考え方です。
コペンが言うようにどちらか一方の栄養学を取り扱うと、自分の身体の状態によっては合わなくなるのは当然のこと。
そこで西洋栄養学でおおよその1日の栄養摂取量を見て、中医学を基礎とした薬膳で自分の体調に合わせて食べるものを考える。手間はかかるかもしれませんが、2つの長所だけを選択することで、より高い効果を感じることができます。
以上が薬膳の歴史と、2つの栄養学の違いになります。
それでは最後に、今回の内容をまとめて終わりにしましょう!!
薬膳の基礎知識その2:まとめ
薬膳の歴史
時代 | 薬膳 |
古代(3000年以上前) | 食養・食療と表現されていた |
周(B.C.1050~771年) | 食医が重要視された |
前漢(B.C.202~A.D.8年) | 薬膳の理論が整理された |
唐(618~907年) | 薬膳が発展した |
明(1368~1644年) | 薬膳の理論・手法が民間に普及した |
西洋栄養学と中医学における栄養との違い
ものすごくわかりやすく言うと、この2つの違いは
- 健康な人を基本とするか(西洋栄養学)
- 1人ひとりの体質を重んじるか(中医学における栄養)
西洋栄養学と中医学における栄養は、『中西結合』(※長所と短所を取捨選択し、より高い治療効果をめざす考え方)をもとに、お互いの良いとこどりをする!
【薬膳の基礎知識その1】薬膳とは何か?どんな役に立つのか?
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