さあ、第7回目の今回は、薬膳の基礎知識として避けては通れない『気』についてご紹介してまいります!(その7は長いので、2つに記事をわけました^^)
前回のおさらい:整体観。人と自然の関わりのこと
『気』とは何か?
まず『気』とはどういうものなのか?専門用語を1行で解説してみると、こんな意味になります(´ω`*)
見えてないけど実は全身へ行き渡ってる!
コペンが言うように、目に見えないと存在自体が疑わしく感じられますが、中医学では『気』の存在無くして身体を知ることはできません。『気』は経絡*を通って身体の臓腑や組織の働きを助けるエネルギーで、陰陽の『陽』に属します。
*経絡(身体のエネルギーである気や血を運ぶ通り道のこと)
- 身体を温める
- 血を全身に循環させる
- 身体の臓腑や組織の働きを助ける
上の働きを見ると『気』だけでも十分な働きをしていると思いがちですが、そもそも中医学を基礎とする薬膳では『気』は単体の働きとして考えるのではなく、『血』『津液』『精』と相互に作用しながら働くと考えます。
気 | 陽 | 臓腑や組織の働きを助けるエネルギー |
血・津液・精 | 陰 | 全身に栄養や潤いを与える物質 |
『気』のおさらい
『気』とは身体を温めて動かす原動力。臓腑の働きを高め、元気を補う
『気』の巡りがスムーズであれば、身体も心も良い状態であるとされていますが、実はその『気』には4つの種類があるのです。どんな種類なのか?続けて見てみましょう。
『気』には4種類ある
4種類の気には【元気/げんき】【宗気/そうき】【営気/えいき】【衛気/えき】があり、それぞれの働きや集まる場所が少しずつ異なります。
元気 | 下腹部にある丹田に集まる |
先天の精(両親から受け継いだ生まれつき備わっている精)に栄養物質が加わってつくられる。 | |
宗気 | 胸中に集まる |
自然界から吸い込んだきれいな気に栄養物質が結びいてつくられる。また、声に出した言葉をはっきりとさせる働きがある。 | |
営気 | 血脈の中を巡る |
血液中を流れている気で栄養が豊富。全身に栄養と潤いを与える。 | |
衛気 | 血脈の外を巡る |
邪気(病気の原因となる様々な要素)が身体の表面から入らないように全身に行き渡っている。身体を温めたり、汗をコントロールして体温調節をする。この衛気が充実していれば抵抗力があり、カゼを引きにくい。 |
『気』には6つの作用もある
4種類の『気』には以下の6つの作用があります。
- 推動作用(すいどうさよう)
- 温煦作用(おんくさよう)
- 防衛作用(ぼうえいさよう)
- 固摂作用(こせつさよう)
- 気化作用(きかさよう)
- 営養作用(えいようさよう)
字面から、何となく働きが分かりそうな作用もありますが、具体的にどういう作用なのか?それぞれを詳しく見ていきましょう(´ω`*)
推動作用(すいどうさよう)
推動作用とは、血、津液、排泄物を動かし血と津液を全身に循環させる働きのことを言います。
血や津液は物質のため、『気』の働きがないと自分で動くことができません。汗や尿、そして便も『気』の働きによって排泄されます。推動作用は臓腑が正常に働くための必要な働きなのです。
温煦作用(おんくさよう)
温煦作用とは、身体を温め、体温を維持する働きのことを言います。
血や津液は冷えると固まり、滞る性質を持ちます。そこで身体を温めることにより、臓腑や組織が正常に働くようになり、生理活動を正常に行うことができるのです。
防衛作用(ぼうえいさよう)
防衛作用は衛気の一種で、体表に『気』を巡らせ、外からの邪気の侵入を防ぐ働きがあります。
侵入を防ぐ働きをするため、『気』が不足すると、カゼを引きやすい・熱が出やすい・寒気がするなどの症状が現れます。
固摂作用(こせつさよう)
固摂作用とは、血・津液など液体状のものが漏れ出るのを防ぐ働きのことを言います。
血管の外に血が出たり、汗や尿、また精液やおりものが出過ぎないようにし、内臓が下垂するのを防ぐ働きもあるのです。
気化作用(きかさよう)
気化作用とは、『気』の運動によって生み出される物質の変化のことを言います。
- 飲食物を消化してつくられた栄養物質から血や津液をつくる
- 体内で不要になった水分を汗や尿に変化させる
- 血から精をつくる
- 出血時の血を補うために津液が血に変化する
具体的には以上のような働きをし、気・血・津液・精はそれぞれ新陳代謝を行い、必要に応じて他のものに変化します。
営養作用(えいようさよう)
営養作用とは、飲食物を吸収できる栄養物質に変えて全身に送る働きのことを言います。
血の中を巡る営気に営養作用があり、この働きが低下すると疲れやすい、やせるなどの症状が現れます。
薬膳の基礎知識その7-1:まとめ
『気』とは身体を温めて動かす原動力。臓腑の働きを高め、元気を補う
『気』は私たち人間の目には見えませんが、経絡を通って身体の臓腑や組織の働きを助けるエネルギーで、陰陽の『陽』に属します。
『気』には4種類ある
- 元気/丹田に集まる
- 宗気/胸中に集まる
- 営気/血脈の中を巡る
- 衛気/血脈の外を巡る
『気』には6つの作用もある
- 推動作用/血、津液、排泄物を動かし血と津液を全身に循環させる
- 温煦作用/身体を温め、体温を維持する
- 防衛作用/体表に『気』を巡らせ、外からの邪気の侵入を防ぐ
- 固摂作用/血・津液など液体状のものが漏れ出るのを防ぐ
- 気化作用/『気』の運動によって生み出される物質の変化のこと
- 営養作用/飲食物を吸収できる栄養物質に変えて全身に送る
薬膳の基礎知識シリーズはこちら!
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。